four tet というDJ兼プロデューサーがいるのですが、新しいアルバムを出しました。sixteen oceansというアルバムですが、これが本当に良かった。
https://music.apple.com/jp/album/sixteen-oceans/1501382860
先行シングルのbabyというMVを1回目の記事で紹介しましたが、ダンサブルでありながらとても面白いビデオになっています。
彼の作る音楽は、ダンスミュージックとしての側面だけでなく、非常に原始的で、万物に共通する大きな法則に乗っ取って作られているからという気がします。
わかりやすく且つ上手く説明できればいいのですが、例えば人間の言葉にはイントネーションという音がありますね。一つ一つの単語を組み合わせて文章化していきますが、単語と単語をつなぎ合わせることによって音が生まれ、文章に強弱ができます。こんな感じですね。
そしてこのジグザグの波形と言いますか、これを立体的にするとどうなるか。こんな感じになります。
線は旋回して螺旋が生まれます。つまりメロディーは生まれると同時に螺旋状に回転していくという事になります。
これは万物における法則と言っていいんですね。植物は成長段階で茎が伸びる時に、葉っぱをつける際には真っ直ぐのびるのではなく時計の反対回りにねじれながら葉っぱをつけていきます。
台風も時計の反対回りに回ってますし、もっと身近で言えば学校のグラウンドも時計の反対回りで走りますね。
例えばスピードスケートで10周します。よーいドンで滑り始めて自分のペースを掴みながら走りますが、9周目くらいになるとフラフラになります。少なくとも俺はそうw。息は荒くなり、滑るペースはもうボロボロ、最後のゴールではついた瞬間にコースアウトしてしまいます。
ここが大事なんですね。ゴールしたらコースアウト、つまり走り始めはインコースをつきながら行くけど、疲れてくると速度についていけなくなり、遠心力に振られてインコースをつけなくなる。そしてゴールした際にはもう、振り切れるような形でコースアウトしてしまうんです。
旋回しながら螺旋状に進んでもやがて大きく振り切れていく。これが大きな法則の一つなんです。
これは音楽の世界でも一緒なんですね。興味深いのは仏教のお経ですね。
葬式の時にお坊さんは読経しますが、よく聞くと言葉の羅列がだんだんと旋回しながら駆け上がって行くように聞こえます。そして終盤になると、振り切れるかのようになり、最後におわん状のものでチーン、と鳴らしますね。あのおわん状の物も、音を鳴らすと音がおわんの中をクルクルと回りながら上に上がっていくかのようです。
人の一生の終わりが螺旋を歩んで振り切れるかのように、お経や最後の鳴らす音も実はその道を辿っていくかのようでとても興味深い。
four tet も単なるダンスミュージックとしての曲もありますが、メジャーで多少、大袈裟な曲を作るのではなく非常にインディペンデント、つまり売れて多くの人に聞かれるよりも自分の作りたい曲を作る事に重きを置き、且つ生命と死を意識した曲を作っているような気がします。
今回のアルバムは結構ノリの良い曲があります。大きな会場でライブツアーした経験と独自のライブセットを作り、大規模なツアーをする予定でいたのだと思います。
そしてインスタグラムでアップしてましたが、おそらく自宅でレコーディング環境も森の中でやるという、静かな場所にいる事で自分と向き合い、音楽を作るというのは非常に理想的な環境だったと思います。少なくとも彼の作る音楽はそういう感じだと思います。
散り散りな単音がビートによって吸い寄せられるかのように集まり、クルクルと回り始めてメロディーを形成していき、リズムに合わせてどんどん旋回していく。この曲は特にそうです。是非聴いてください。
そして彼のライブセットがこちら。なんでしょうか電球らしきものがすごいですね。これはさすがに世界ツアーでは持ち込んで歩けないのだろうけど、今回アルバム出してから大きな公演をロンドンとかでやる予定がコロナウイルスの影響で全てキャンセルになってしまいました。かなり悔しいと思います。
こちらのビデオを良いのでぜひご覧ください。
俺も二回ほど彼のライブは見ました。印象的だったのがエレクトラグライドの時。もう6年くらいまえかな。他のアーティストが3Dだの電飾を派手にしてだの豪華にやってる最中、four tet だけはライト一つ二つで黙々と音を鳴らし続けたけど、それが逆にかっこよすぎて五千人以上のオーディエンスの熱狂ぶりがハンパなくて本当に素晴らしかった。自分の中でも伝説のライブ化しています。
というわけで単純にダンスミュージックだけではなく、BGMとしても最適ですし、是非聴いてみてください。
オススメの曲をアップしておきます。
お気に入りの二曲。
mix作りたくなったなー。個人個人でmix作って流しながらなんかアーティストにお金いくようなものできないのかな。ま、俺のmixは間違いなく3時間以上になるから誰も聞かないかも知れないけどw。