列車が停車動き出して、再び自動ドアの方へ。
赤井川駅。
相変わらず見えぬ、駒ケ岳。
大沼という場所は文字通り大きな沼と書くが、まぁ、湖だw。
もう湖畔は雪におおわれていて、その姿は見ない。白鳥もいない。
次の春、あるいは初冬にかけて、どこから写真を撮るべきか。
ここはというポイントはあった。だがどこも生活圏の邪魔になるか、行くのが困難な場所ばかりだった。
いつもの誰もが撮れる場所しかないのか。
ガタンゴトンと、揺れる。
新函館北斗駅に着き階段を登ろうとするが、森駅で見たあの光のシルエットはなかった。
階段を登り、改札口を出る。
光は遠かった。
日陰の冷たい空気、ベンチに腰掛けてキハを待つ。
ロジャージェンキンスだったら、どう撮るだろう。
また景色が動き出した。
リズム良く写真を撮っていた。だが朝の五時に起きて仕事をする自分にとって、ガタンゴトンと揺れる列車のリズムは、疲労を和らげるには充分な心地よさだった。
気づいたら寝ていて、起きた時には森駅近くだった。
森駅に着いて、カラーをつける。
向こうへ行って、向こうから帰ってきた。小さじ一杯程度の旅は出口へ。
太陽はてっぺん近くまで上がり、光のシルエットは壁まで移動していた。
それが嬉しかった。
額縁の中には何も描かれてはいなかった。しかしその絵はフワリと暖かく、まぶしくない程度に輝いていた。