風に花々が揺れる。
それによってうまくカメラの焦点が合わないのはわかっていた。
けれどフランクオーシャンの曲を聞いていたら、なんだかうまく撮れなくてもいいから、残したかった。
プリンスの曲にsometimes it snows in Aprilという素晴らしい曲がある。そして2016年の4月にプリンスは召された。
このdear Aprilはおそらく失恋とプリンスの事を想い、書いた曲なのだろう。故に儚く、美しい。
この曲を聴くと少し潰れそうになる。
フランクオーシャンは歌う。
俺たちに新しさをもたらしてくれたように。
俺たちを連れ出してくれたように。
そしてこの目を覚まさせてくれたように。
俺たちの持つものは、もうあの頃と一緒じゃない。
けど君なら何か新しいものを生み出せるはず。
それは君をきっと連れ出してくれるはずだから。
君になら2人の人間を連れ出してくれるはずだから。
親愛なる April、この人混みの中で唯一知っている顔。
よく見ると、花に水滴がついていた。
手をのばして水の冷たさを感じ、手に馴染ませた。
色のない世界を選択して、シャッターを押した。