月曜に牧草の収穫作業が終わった。なかなか晴れが続かず、霧の合間を見ての牧草作業はなかなか困難を極めた。
4月から草はのびはじめて、ちょうど頃合いに草を刈る。だいたい350個できた。
これからまた草はのびるが、春からの勢いはなく、およそ120個くらいのロールができる。
冬に食べさせる草はなんとか間に合いそうだ。
最後の牧草は朝5時に起きて、夜中の1時半までやった。次の日には雨だというので、なんとか牧草地からロールを出さないと、トラックがぬかってどうしようもなくなる。深夜23時を過ぎると、意識は朦朧とし始めた。
擦り切れそうな意識を立ち上げようと、コンバージのようなハードコアな音楽や、ストイックなnasのようなヒップホップを聞いたりした。
だが、それでも疲労は上からのしかかり、音すら受けつけられなくなる。
最後の余力を振りしぼって、作業をする。トータスというインストバンドのTNTというアルバムで心地よくなりながら、それでも何一つ考えられなくなった。
トラクターを止めて真っ暗な夜の世界で、エンジン音を聞きながら、ただ1人で闇雲にのたうちまわってような気がした。
トラクターのライトは霧に吸い込まれ、どこを照らしても同じことで、ただ1人、孤立感にうちのめされた。
目を閉じてうつらうつら寝に入るところにtoeのgood byeがかかる。うたた寝状態でも、久しぶりに聞いたな、と感じた。
土岐麻子さんの声がどこまでも透き通っていて、擦り切れた心に直結して響く。
アコギのフワリとした音色、早打ちなドラムの音が少しずつ心の目を開かせる。やがてメロディーもリズムも大きくうねりながら、やがて莫大なエネルギーを抑える事ができずに拡がっていく様を、目の裏側の世界で可視化できて、久しぶりに聴きながら大切な忘れ物を取りに来た感覚を覚えて、素直に感動した。
どこまでも拡がり続けている。世界も宇宙も。
ただうまく届かないんだ。
曲を聴き終わり、味わいにうちのめされて笑い、その日を終わりにした。家までの帰路は霧の中だった。何も見えなかったが、闇雲に歩いているわけではなかった。
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