列車が通り過ぎて行き、5分後には函館からの特急が札幌に向かって走っていく。
急いで丘を降りて、違う場所へと移動した。
なんとか間に合った、と急ぎ足で線路を渡るとカンカンと遮断機が降りた。あー、と思いながら除雪によってできた雪の山の上に駆け上がる。
丘の上から写真を通った際に見つけたこの場所だったので、こういう構図になるのだろうな、と考えていたけど、やはり慌てた。
撮りながら、あちゃー自分の車置いてんのが邪魔だという事に気がついた。もう笑うしかない。
列車が通り過ぎて、周辺をカメラで撮った。1キロくらい車で走ったところで廃屋を見つけた。
海はすぐそこで、ここで暮らすというのは季節問わず大変だったろうと思った。勿論誰もいない。座られた椅子がなんともいえない雰囲気が出ていた。
苦労は山ほどしただろう。
雪の下で埋もれた残骸。そこで暮らした温もりと歴史。それもまた北海道という歴史の1ページだ。
海に向かって歩き写真を撮ろうと思った。いくつかの写真を撮って、帰りがけに廃屋の近くを通ると、陽の光が雪に反射して眩しく見えた。
もう誰もいない。しかしそこに確かに人はいて、泣き笑いを繰り返していた。ファインダーをのぞき、その間光景は眩しいままに、シャッターを切った。