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生活の風景

音楽、写真、日常を切り取る感じで。

129.宇多田ヒカルを聴きながら

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この前、久々に夜に砂浜に行ってきた。

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 


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宇多田ヒカルさんの新曲が素晴らしくて、何度となく繰り返し聴いている。本当に素晴らしい曲で、間違いなく今年の再生回数はNO.1だろう。それくらい気に入っている。

 

 

https://open.spotify.com/track/5RhWszHMSKzb7KiXk4Ae0M?si=iD09fzxETUqg-osEiK5e_Q

 

彼女の影響受けたアーティストにpj harveyを上げていると聞いて驚いた記憶がある。ロックでニルバーナ をはじめ、多くのアーティストに影響を与えたアーティストだが、初期のpj harveyを知っている人間にとっては、宇多田ヒカルさんとはかけ離れた存在に見えていたからだ。

 

ロックではまだハードロックが全盛期だった時はキレイな金髪の女性が水着で踊っていたり、どちらかといえば男の3歩後ろを歩く事が当たり前の風潮の時代に、pj harveyはセックスを歌い、愛に溺れて狂っていく様を歌ったり、男が自分の生殖器を俺の方がデカいと言ってるのをコケにしたり、なによりも衝撃的だったのは、あなたじゃ濡れないのよ、と男を拒否した歌を歌ったのが大きかった。

 

高校時代、俺はめでたく初体験も済ませて退屈な日常も少しはマシかなと思った矢先に、彼女の曲はとてつもなく刺激的で、本能的で、そして誰よりも人間だったし、pj harveyに夢中になった。

 

そんなpj harvey宇多田ヒカルさんはどうもシンクロしているような気がしていなかったけど、fantomeというアルバムを聴いて一変した。どこまでセキララで人間的なアルバムは、それまで聴いていたアルバムとは違って一気に虜になったし、愛聴盤として今でも聴いている。

pj harvey宇多田ヒカルがシンクロした瞬間だった。そしてもう一つ、気になる事があった。

 

ある音楽評論家の対談で、宇多田ヒカルさんが自身のラジオでダウンバイウォーターをかけ、その次に母親の曲かけたというくだりがあった。

ダウンバイウォーターは、レポーターが子供が溺死してるのを発見して、何があったのかと考えていくが、やがてその子供の母親は自分かも知れないとなっていくストーリーの曲だ。真相は謎のまま、川の水は流れていく。罪も死も。

 

正直、宇多田ヒカルさんがこの曲をかけたと読んだ時は、相当苦しんでいたのだろうと思う。

 

 

 

彼女の親子関係を考えると心中察するに余りある。

 

 

 


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一か月前に撮影して、124.砂浜にて、で記事にした時にあった浮き球は、まだあった。まだ一か月ここで波の音を聞きながら転がり続けたのかと思うと考え深いものがあった。

浮き球とオリオン座を写真の構図の中で印象になるように、撮影した。海の波で足元をさらわれ、ブレた。

波の音は心地よく、写真としては失敗でも気にならなかった。よく耳を澄ませると、川の流れる音も聞こえてきた。

 

 

その日は、街の光は空に溢れていたけど、美しい夜だった。撮影しながら宇多田ヒカルさんの曲を繰り返し聴いて、ゆっくりと滑り込んでくる波の音が少し曲の音をかき消しながら、くるんでいくような。

 

 

 


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宇多田ヒカルは歌う。

 

初めてのルーブルはなんてことなかった。

私だけのモナリザ/もうとっくに出会っていたから

初めてあなたを見た/あの日動き出した歯車

止められない喪失の予感

もういっぱいあるけど/もう一つ増やしましょう

can you give me one last kiss?

忘れたくないこと

 

 

 

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モナリザはレオナルドダビンチ自身の母親と言われている。

これまでも多くを喪失してきた。人と会うという事は別れはつきもので、それは時に耐え難い苦痛をともなう。

だがそうだとしても、やはりあなたと出会いたいし、喜びを分かち合いたい。痛みを分かち合いたい。

 

 

https://youtu.be/0Uhh62MUEic

 

 

 

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最後の最後まで、この日の波の音は優しかった。浜辺にただ1人、ぽつんと孤独だったが、波の音と曲が心を満たしてくれた。

 

 

浮き球はもう少しここで海を漂い、そして見続けることになる。

 

世の喧騒とは違う世界を。

波の音を聞きながら、車に戻った。