子供と日中は遊んだ。機械を入れている場所に行ってかくれんぼと鬼ごっこ。どれだけ叫んでもとがめる人はいない。機械に触れながらキャーキャー走り回る。
昼から絵本を数冊読んでいるとムニャムニャしながら眠りについた。以前は抱っこしてゆらゆらしていたら寝るのは珍しくなかったのだけど、そういう機会も減り、本当に久しぶりに寝かせて、なんだか嬉しかった。
牛追いをしながら、今日は今年1番、真っ赤に染まる空になるだろうと確信する。
それから10分後、一気に燃え上がるように空は真っ赤に染まった。子供達は丘を一気に駆け上がり、奇声を上げていた。
あぁ、本当に燃えていると思った。この燃えるような夕焼けの真下で子供達は無邪気にポーズをする。
ファインダーを覗きながら、この時間は永遠には続かないという事を否が応にも心に刻まれた。
この無邪気に遊ぶ子供達は、俺の愛しい子供達は、いつかここから離れていかなけれはいけない。
ここから離れて違う場所で、新天地で暮らさなければいけない。
わかるのだ。この子達にはきっともっとふさわしい場所があるという事が、俺にはわかってしまう。
この時間は、永遠には続かない。
夕暮れは一気に色模様を変えていく。子供達はやがて家に向かって歩き出した。
フランクオーシャンのself controlという曲が頭に流れた。ラストのコーラスが美しくてとても好きな曲だ。夕陽の空とそのメロディーは重なり、世界は広がった。
その世界ではいつまでも変わらず、俺の中で漂い続ける。
向こうで子供達が手を振っていた。もうその時には暗がりで、子供達の顔は少しボヤけていた。
https://open.spotify.com/track/5GUYJTQap5F3RDQiCOJhrS?si=qNUm4HhHS4af21uP94wc9w
わかっているんだ、君はここから去った方が良いという事は/夏の間だけ一緒に過ごせないかな
今夜だけでいいから、時間が欲しい
わかってるよ、これから君の恋人が来るんだろ?/君にとってこれはゲームだよね、君の勝ちさ
わかってるんだ、君はここから立ち去った方が良いという事は。