月がとても綺麗で、五分だけカメラを持ち出した。片手が現在、不自由なので三脚にカメラをつける事すら苦労する。
外は冷気が落ちはじめてきて、スッキリとした青白い空気が意識をクリアにしていく。色鮮やかな世界が、白と黒の世界に変わっていた。庭付近を歩きながら、さて何を撮ろうか、と考える。ふと視界にあるススキが生えていた。
風が吹いてススキは揺れる。風が止むタイミングを見計らってシャッターを押す。何度かやっているうちに、音楽が欲しくなった。
不思議と月の光を浴びていると、時間が止まってるかのように感じる。しかしそれでも時間は直線状に生まれ、走り続けている。
それが一番の大きな問題であり、同時に解決でもある。全ては、この三次元では時間の上で生まれて、死んでいくのだ。
スマホからplastik manの曲をかけて、少しだけ時間上を漂う。玄関から大きな声で子供を呼び出し、大きな月を見た。