今日は暴風雪という天気予報だったが、予想に反してそこまで風はなく、雪もまばらだった。
かまくらを掘ると、次男坊がちがう場所を掘り始めたので手伝いって20分後に完成した。
みかんをかまくらの中で食べて、ご満悦になる。だがその後また雪壁に登り始めたいと言った。
向こうに行こうと言う。2人の子供を抱っこする事になると思い、雪に埋もれながら30キロ以上になる重さはつらいので嫌だと言った。
子供達は俺の意見など聞かず歩き始めた。
200メートルほど雪に足を取られながら歩いた。大人でも辛いのに2人は歩き、その上急激な坂を登った。
2人は頂上に着き、へたれこんで息を整えた。雪をほおばり、ノドを潤す。なにかを話していたが、風の音でかき消されて聞こえなかった。
近寄って良く歩いたと褒めると、この後ずーっと歩くとどこに行くの?と聞いてきた。
この後、森の方へ行くよ、でもクマさんが寝てるから今日はやめておこうと言うと、そうだねと長男が言った。
もう歩き始めたのだと実感した。寒空の風の吹く中でも、何があるかどうかよりも、あの急激な斜面を登りたい欲求に駆られたのだろう。
そびえる現実の高い壁もある。だが子供達はその壁がどこまでも続くとは思わず、登れる場所を探した。
そして俺から離れて、歩き始めた。