夏のある日、家族と海へ行った。およそ20分で着く浜辺で、海は浅く子供が溺れる危険性はかなり少ないので年に数回行く事にしている。
子供達は最初は恐る恐る海に足をつけた。そしてその5分後にはバシャバシャ浅瀬を走り回って楽しんでいた。
防波堤。干潮時には胸あたりまでだ。カメラを持って撮影しているとカモメが向こうの方で鳴いていた。もっと近くで撮りたくともそれは叶わず、家族のもとに戻る。
子供がコンブを拾って得意げに振り回す。スターウォーズ かウルトラマンかマーベルか何かわからないが、ヒーローごっこで悪い怪獣を倒すためにコンブを振り回して遊んでいた。微笑ましくも子供が怪獣を戦う声は波の音で途切れ途切れ聞こえてくる。
不意にカモメが頭上を飛んでいった。何事かと空を見渡すが太陽を見て目がくらんで下を向いた。
子供が指を指していた。
やがて音と共に自衛隊のプロペラ機が見えてきた。
子供はなにかを話していたが、その声は波の音と飛行機の音で掻き消された。
しかし子供は話し終えると満足したのか、海の方へ向かって歩き出した。飛行機を少し眺めて、やがて着陸態勢に入るために旋回してるのにも興味はなく海で遊び始めた。
飛行機のノイズがあたりを支配したが、子供は繰り返し押し寄せては引いていく波に向かって歩きだした。