43.Dear April
風に花々が揺れる。
それによってうまくカメラの焦点が合わないのはわかっていた。
けれどフランクオーシャンの曲を聞いていたら、なんだかうまく撮れなくてもいいから、残したかった。
プリンスの曲にsometimes it snows in Aprilという素晴らしい曲がある。そして2016年の4月にプリンスは召された。
このdear Aprilはおそらく失恋とプリンスの事を想い、書いた曲なのだろう。故に儚く、美しい。
この曲を聴くと少し潰れそうになる。
フランクオーシャンは歌う。
俺たちに新しさをもたらしてくれたように。
俺たちを連れ出してくれたように。
そしてこの目を覚まさせてくれたように。
俺たちの持つものは、もうあの頃と一緒じゃない。
けど君なら何か新しいものを生み出せるはず。
それは君をきっと連れ出してくれるはずだから。
君になら2人の人間を連れ出してくれるはずだから。
親愛なる April、この人混みの中で唯一知っている顔。
よく見ると、花に水滴がついていた。
手をのばして水の冷たさを感じ、手に馴染ませた。
色のない世界を選択して、シャッターを押した。
42.夜をむかえて
日常の上を歩く。いつもの風景が続く。
夕方、子供達と遊ぶ。桜が撮れないなら、ささやかに花壇の所で写真撮影。スーパーマリオにハマっている息子は、いつもこの衣装だ。
夜になり、少しの時間写真を撮った。そういえばはっきり見える天の川はまだ撮れていない。この日も少し曇っていて星景写真を撮るにはそんなに良い条件ではなかった。だがやはり星空を見るのは心地よく、写真を撮り始めた。
一日中遊びまくった息子は、布団に入って五分もたたずに寝てしまった。
あれだけはしゃいでいたのだから、無理はない。
ふと写真を撮りながら子供の寝顔を思い出した。
深い眠りに落ちた息子は、おそらく明日の朝日を浴びるまで起きる事はないだろう。
まだ芽が出てない木を撮りながら、明日も天気が良ければ良いなと思った。
朝日を感じながら起きて、日常の上を歩いて行く。
天気が良いというのは、その第一歩だ。
41.日常の風景
ドシーンとした戦艦的な感じ。
風を感じてる、最高齢。
向こう側へと吸い込まれていくように歩いて行く。
始まりを探しに、あるいは終わりに向かって、青い空と緑の地の間を、ゆっくりと。
風だけが大きく音をたてて、なにかを話しかけて過ぎ去っていくような錯覚を覚えた。
絵でマルを描くとただの円だ。だが3次元で描くとそれは円球になる。その立体的な世界では生活を営んでいるのだが、それが5次元以上になると時間という概念はなくなり、未来も過去も現在も同じにやってくる。いや、同じというのは正しくないか。なんと言えばいいのか。
もし、未来の人類が何かしらの形でこの世界に入り込む事ができたのなら、それは身体を捨てているのだろう。そして精神だけが風に乗って駆け抜けていくのではないか。
止まらぬ想像力と共にしばらく牛といて、やがて10分くらいうたた寝をした。
帰ってくると去年までは牛連れてく時には一緒について来た犬が寝転んでいた。もはやついていくのが面倒なのだろう。ちょっと笑いながら撫でて一言二言話しかけて、家に入った。
40.星空と花と
去年の5月12日に撮った写真達。
ごめんなさい、全然思い出せないw、結構良い写真だと思ったけど、なんか忘れたなーw。そうか。撮ってたか。
こちらは2年前の5月12日。これは憶えてるw。もちろん。この階段を一生懸命登ってる姿が愛おしくて。
やっぱり家族で桜の下で撮る写真は良いです。今年は撮れないのかな、、
こちらは三年前の5月10日の写真。なんか無理矢理行ったんだよな。そんでやっぱり行って良かったみたいな会話したの憶えてる。そらこういう写真撮れたらそう思いますね。ベストショットです。
花が宇宙に向かって交信してるように見える。夜空の下で花を撮ると時々そんな事を思います。
色々あるけど乗り越えてまた写真で瞬間を切り取りたい。
それが生きがいでもある。
とか言って忘れてしまったらどうしようもないなw。いやー、まいった。
こちらからは以上でーす。
37.朝日を浴びる者
写真を撮りに行きたいw。半径100キロ圏内でも、俺の人生を費やしても撮りきれない魅力的な場所がたくさんある。
生活風景、自然、星、撮っても撮っても撮りきれない風景の数々。
コロナの自粛生活で、心は揺れ動くが、なにせ農家、自営業者は自分が倒れてしまった瞬間に廃業になってしまう。そう思うとなかなか出歩く事がね。
去年の昨日、つまり2019年5月9日に撮った写真。朝の2時くらいに出て函館の隣町の上磯へ。行く道中、海沿いの国道を走るのだけど、海には100を超える漁船が漁をしている。夜中の2時、春といえど海上は0度を下回る事も多い。
第一次産業者として苦労も多少わかるが、本当に頭が下がる思いだ。
太平洋セメント付近の漁港に車を止めて、撮影した写真。
ちなみに向こうに見える山が函館山で、おそらくテレビで函館の街並みの夜景は一度は見たことがあると思う。あの函館夜景はあの山から撮っているものだ。
そして夜間の写真も。
ディストピアな世界というかな。工場夜景で有名な四日市、川崎、そして室蘭の工場夜景があるが、2時間運転すれば室蘭に着くので、海上から工場夜景写真を撮りたい。
浜辺を歩いていると、おそらくこの周辺に住んでいるおじいさんが、打ち上げられたゴミを拾って清掃活動していた。
朝日を浴びるにふさわしい者。毎日浜辺の清掃活動をしてるのだろう。
自分に向けて陽の光が放たれている事に気づいてはいない。
静かにシャッターを押した。