牛さん早くこないかなー、と子供が言う。朝の7時半過ぎに山の上に行って牛が飲む水を補給しに行く。
だいたい2000リットルでも30頭もいると2日で飲み干す。暑い日なら1日で飲んでしまう。なのでほぼ2日に一回は水を補給しに行く。
朝の日課として子供と一緒にトラクターで山に行くのだけど、子供はトラクターに乗れるので楽しみにしている。
トラクターで山の上に行って水を補給した後に幼稚園に通うような子供は日本でも自分の子供くらいだろうw。
世界広しといえど、そうそういない。
傾斜地は畑作物、麦や米を植えても雨水で流れてしまうために生産性がない。そういう場所はこうやって牛を放したりするのがかつては一般的だった。山間酪農というが、自分の家はその典型的な例にあたる。
子供は不思議そうに水にうつる自分をみる。その仕草一つ一つがとても愛おしい。
子供が待ち切れなくなって牛を呼びに行こうという。牛は草が美味しいからまだ来ないよ、と言っても呼びに行くと言う。
牛の場所に行くと、やはりその巨体に怖くなり、笑いながら抱きついてくる。
ウシさん、早く水を飲みなさーいと子供は何度か叫んだ。草を夢中に食べる牛は聞く耳を持たなかったが、トラクターの方に子供と歩いて行くと牛達もついてきた。
草が美味しいからまだ来ないよと言っていたボスの言う事はあてにならない。子供は満足気に水を飲んでる牛達をみた。
それから30分後、子供は今日も元気よく幼稚園に向かった。