子供達が、冒険だと言って山に向かって登りだした。
冷たい風が吹きつけるが子供達はおかまいなし。
体重の軽い子供達は歩いても雪の上を歩けるが、大人は歩くたびに足をとられた。
斜面の雪の多さにまだ春は遠いと感じる。風はどこか春の匂いがするのだけど。
子供達は興味のあるまま、自由に歩きまわった。
さすがに疲れて休憩をしたくなったみたいだ。雪を食べながら何か叫んでいたが、風がその声をかき消した。
まさか登りきるとは思わなかった。かなりの傾斜角度のある斜面をこちらの想像を越えてはるかに早く登った。スパイダーマンのポーズを撮ってというので、笑いながら撮った。
そこはまだ子供でいてくれる。
雪で真っ白だねー、牛はまだだねーと長男は言った。
そうだねと言いながら、冬の前にトラクターでここに来て写真を撮った日の事を思い出した。
ゆっくりと変わっていく。だが振り返るとそれはあっという間に過ぎていく。その事を理解できる人間というのは、いない気がする。
それはあっという間に過ぎていた。春の風が耳元で叫びながら通り過ぎていく。