95.カラスの鳴き声 写真
灰色の曇り空にふわりとオオワシが浮かんで旋回を優雅にしていた。
しかし聞こえる音はカラスの鳴き声と川の流れる音だった。
少し歩くと、木に五羽、六羽のオオワシがくつろいでいた。今日も生命の限りを尽くして遡上してきたサケを、充分に喰らい尽くしたはずだ。
望遠レンズをつけてカメラを覗くと、木は美しい曲線のラインに見えてくる。
美しいラインの上にいるオオワシを眺めてると、王者が川に降り立った。
カラスがわめきちらしながら、飛び立っていく。その飛んでいくカラスを一瞬撮ろうとしたが、やめた。
なぜ撮るのをやめたのか、自分でもわからずに戸惑った。なぜだろうか?
オオワシがサケを捕まえて飛んでいく。
撮ろうとしたが、もう遅い。ああ。
灰色の曇り空に、カラスが数羽飛んでいた。川の音とカラスの鳴き声が周辺に響きわたっていた。