写真、自然、音楽、科学、が趣味

生活の風景

音楽、写真、日常を切り取る感じで。

200.海へ

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海へ。

 

Joy Orbisonの新しいアルバムを聴きながら、車は道を走る。冷たいトーンのテクノが風景を一変させた。

この冷たさが、冬から春に吹く風のように蒼く心地よい。このままどこまでも行きたい気分になった。

 

 

https://open.spotify.com/track/7oNOKWpTqTnTJeyLwkwWqN?si=_58vMYrWTd29vilbsfVK5Q

 

https://youtu.be/K6kEQrog0RQ

 

車から降りると冷たい風が吹き荒れていて、すぐに上着を着てこなかった事を後悔した。風と海の波の打ち立てる轟音が向こうで鳴り響いている。カメラを持ってそちらの方向へ向かって歩き出した。

 

その冷たさの中で、まだjoy Orbisonのお気に入りの曲が頭の中で鳴り響いていた。


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海を見た瞬間、モノクロ写真にしようとスイッチが入る。

海の波を強調するのでなく、陽の光を強調する写真が撮りたい。f値をいじり5.2に合わせて撮影を開始する。

 


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なかなかタイミングと撮るリズムが合わなく、うまくこれといった写真が撮れないでいた。カラーにしたらどうだろうと思い切り替えてみるが、撮る前からそうじゃないと思った。

寒さで切断しかけた親指に痛みが走る。全く動かない。

 

だがその冷たさに威厳を感じて、どこか嬉しい。

 


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岩場の方へ歩いて行くと、カラスがうまく飛べずに空中でもがいていた。

 

もっと遠くに行く事ができるのに、うまく飛べない。

かまえて写真を撮る。海と風の音が響く中でかすかにカラスの鳴き声が聞こえた。5羽ほどカラスがいて、この果てのような場所で生き延びていた。

 

海岸に流れ着くゴミを漁りながら生きてきたのだろう。ここは釣り人がよく来るので警戒はしていない。

 

 

 


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岩場を登り、写真を撮り始める。風が勢いよく突っ込んできて、いっそう寒さが滲む。

後ろからカラスが俺に罵声を浴びせる。

 

出て行け、さもなくば何か食べる物をよこせ、と聞こえた。

 

雪水によって海の水は濁っていた。波は勢いよく音をたてながら突っ込んでくる。

 

頭の中のあの曲はいつのまにか消えて、冬の終わりの叫びとカラスの鳴き声が頭の中に響いた。

 

 

 

 

 



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