ボールが高々と上がる。子供達は叫びながら喜び、転がるボールを競い合って取り合った。
1時間以上、芝生で遊んで楽しんだ。かけっこをし、ボールを追いかけ、戦いごっこをして疲れ切って最後は芝生に寝転んで笑いあった。
その日は寒く、放射冷却現象が起きた。きっと朝の四時あたりから雪が降るだろうと思った。
学校から帰ってくると子供は一目散に外を出て遊び始める。雪玉を作り、標的の俺に向かって投げつけてくる。
30分と付き合っていたが、親は飽きても子供達は飽きずに遊んでいた。冬を堪能し始めた。
時間だけが唯一変わらずに存在している。
その他の全てはどうしても変わっていく。子供達も環境も自分自身も全て。
もっとその子供の笑い声を聞きたく、もっと一緒にいたくともそれは叶わない。彼らはこの地から、その存在は大きくなって出ていくのだ。
子供達を家に連れて帰り、仕事に向かう。フランクオーシャンのself controlという曲を聞く。
ギターのソロの後に美しいメロディーの中でフランクオーシャンは歌う。
君は去っていく、夏の思い出と共に。あきらめるよ、今夜。きっと新しい人を見つけているのだろう。
君は去っていくんだ。夏の思い出と共に。
雪が一段と強まってきた。その白い光景はもう戻れない過去が降り注いでいるかのようにも思えた。
もう戻る事はできない。
時間だけがこの世界の支配者である限り、戻る事は不可能だ。
瞬く間に雪は降り積もる。フランクオーシャンの曲を歌いながら、その降り積もった雪の上を歩いた。