牧草地においてあったトラクターを持ってこようとする。少し考えて盛大にライトをつけた。
自宅前の木の所に行くと、木の葉っぱは輝きを放っていた。何枚か写真を撮り、トラクターを倉庫にしまった。
天の川が頭上を流れていた。とても美しかった。やがて月が出てきて天の川は光にかき消される事になる。
ふと月明かりを考えた。
太陽の光は、およそ8分くらいの時間をかけて地球に届く。つまり俺らが見ている太陽というのは、8分前の太陽という事になる。
月は光を浴びて黄色く輝く。8分前の自分は何をやっていたか。8分前は、トラクターのライトを盛大につけて光に輝く木を撮っていた頃だ。
ライトに照らされて天の川は消えていた。
椅子に座って天の川を見ながら、フランクオーシャンのNikeを聴いた。気だるいメロディーからアコギの音色が回転し始めて、フランクオーシャンは言う。
俺達は先に未来を見る。今を生きる。そうしたら昨夜さえ前世に見えてくる。
17曲目のラストナンバーがfutura freeという曲で、巻き戻してくれという声と共に一曲目に戻る。
しばらく聞いていたら、いつの間にか寝ていた。
西の空を見ると、火星はとうに消えていた。
あちら側とこちら側の世界。フランクオーシャンの曲を聴きながら、自宅に戻った。
夢の中で夢を見る。明かりを照らした居間でジークフリードが流れた。この居間の壁を挟んであちら側では天の川が流れている。
外側の永遠とこちら側の一瞬。折り重なったストーリーの中間地点で、眠りにつき、夢を見る。