弟夫婦が来た。実に3年ぶりだ。あまり弟夫婦の姿は変わらなかったが、子供達はずいぶん成長していて驚いた。我が息子達も大はしゃぎで喜んだ。
弟夫婦は居酒屋を経営していて、職業柄、コロナ禍では里帰りはできずにいた。
トラックの荷台に弟夫婦と子供達を乗せて牧草地に行く。かつて自分達が遊んでいた事と同じ事を自分の子供達に体験させる。
3年間の月日の穴埋めをするかのように、大声で走り回り、子供を夢中にさせる。
それをじっと眺めていた。
正確にはかつての自分達を、だが。
弟は子供を抱えて走り出した。子供が大きな声で笑い声を上げた。その1秒1秒は未来に向かって。
その走りゆく先は、かつての方角へ。消えた道の上を、弟はまっすぐ走った。