今開催されてるコーチェラミュージックフェアというフェスがある。
そのフェスにフランクオーシャンが出演する。YouTubeでも生中継されて日本時間の月曜日の14:05分くらいだ。
音楽が大好きで沢山のレコードを持っているけど、もし一枚だけ選べというならば、まぁそんな事を言う奴とは付き合わないけど、一枚だけ選べと言われたらフランクオーシャンのblond/blondeを選ぶだろう。
全ての音楽のジャンル、フォーク、エレクトロニカ、テクノ、ヒップホップ、クラシック、ロックなどの要素このアルバムに入っている上に、様々な仕掛けがほどこされている。
トータルで60分のこのアルバムは1曲目から17曲目まで聴き終えると、ループするような仕掛けになっている上に、ちょうど17曲の半分の9曲目、トータルの半分の30分の地点でストーリーが変わるのだ。それも9曲目のnightという曲の、曲調が変わる瞬間が30分のところだ。
1曲目から過去を振り返り懐かしい日々を思い出しながら友達と離れていき、1人寂しく孤独にいるところまでがnightの前半部分、そしてその後半から30分は昔の友達にまた仲直りの意思を示しつつ、未来に向けて歩むというストーリーになっている。
つまり過去から現在までの物語がアルバムの30分で、現在から未来に向かってが後半の30分だ。
フランクオーシャンは男性と女性の両方の性を持ち合わせている。つまり二面性を持ち合わせているが、このアルバムの曲にも2つの二面性がある上にさらにアルバム自体にも過去から現在の物語、そして現在から未来への物語と二つの物語が共存している。
さらにiTunesでのフランクオーシャンの写真はこれだ。これはアニメ映画のAKIRAのオマージュだろう。AKIRAという映画は金田と鉄雄の2人が中心となって物語が進む。鉄雄と金田は仲が悪くなるのだけど、これはフランクオーシャンのblond/blondeでも同じストーリーラインが走っている。
フランクオーシャンは実体験とAKIRAの世界を取り込みつつアルバムを制作したのだと思う。
夜、星空が見えたので、少し撮影しようと思った。ヘッドフォンをつけてフランクオーシャンのblondeを聴きながら撮影をした。やけに星が流れていた。それを見ながらフランクオーシャンの夢物語に浸った。
道路の真ん中に出てカメラをセッティングした。
オリオン座が一直線に伸びる道路のど真ん中に沈んでゆく。その写真を撮ろうと思った。
キャンプ用のアウトドアチェアを引っ張り出して座り、四光年先のオリオン座の星々を眺める。
光の速さで四年。最も近い恒星。いつかあそこに人は行く事があるだろうか。そこには何があるだろうか。
そう思いながらやがてアウトドアチェアでうずくまりながら眠りについた。
ホワイトフェラーリという曲で目を覚まして暗闇を見渡した。
出来上がりの写真を見る。カメラでオリオン座の軌道を見つつ、現実の空を見た。
どの星も孤独で孤立している。お互い出会う事はない。でもそれは悪くない景色だ。
新しいバッテリーを入れてxf16mmにレンズを交換する。一枚写真を撮ってまたbulbモードに設定した。セルフコントロールという曲をかけながら帰路に着く。
明朝の5時半に出てカメラのところに行った。霜がカメラに付着していた。画像を確認してカメラをしまい、作業を開始する。
明日、フランクオーシャンのライヴを子供達の横で見ようと思う。子供達はきっとiPadで他のYouTubeかスターウォーズのアニメに夢中になっているだろう。でもセルフコントロールという曲をフランクオーシャンが歌ってくれるならば、きっと俺の見ているテレビを見てくれるはずだ。
なぜならこの曲を車でかけてるとラストのコーラスを一緒に歌ってくれる。この歌とても好きだね、と言いながら。それがなにより嬉しい。
なによりもそれが本当に。
https://youtu.be/BME88lS6aVY
いつか俺があの彼方の星なのか、あるいは闇の一部になるのかわからないが、いなくなったとして、俺がどんな事を言ってどんな姿をしていたか忘れてもかまわない。
ただ俺の好きだった曲を一曲だけでいいから覚えていてくれたら、それだけで充分だ。
俺はそこにいるのだから。