秋が深くなってきて、もう牛を放牧してもそんなに食べる草がなくなってきた。あと一週間は出したいが、そのあとは来年の春までお休みになる。
牛には心地よい気候だけど、食べる草が少ないと帰ってくるのも早くなる。もう今年の終わりはすぐそこまで来ている。
夜、子供達が早く寝たので外に出た。月が昇る前に天の川を確認したかった。
カールグレイグのメロディーというライヴバージョンの曲をかけた。
ピアノの音が丁寧に鳴りやがてゆっくりと一つのメロディーとなっていく。メロディーとなったらテンポが生まれる。そしてリズムが生まれて、空間と時間が螺旋状に回り始めて昇りつめていくのだ。
音色に耳を傾けて、視線は星々に向けてその現象を見逃さないようにした。歴史が見える形で展開されていく。昇りつめた音達は、やがて振り切れて美しく散り散りになっていく。打ち上げ花火が美しく散っていくように。
風が吹いていた。今日は寒くなるが、これから雲が出てきて星も月も出なくなるだろう。
帰り際にデリックメイのstrings of lifeをかけて家に向かった。音を聴いてると星々がより盛大に輝いているように見えた。
足を止めて曲が終わるまで、立ち尽くした。