50.ヨハンヨハンソンへ
大雨が止み、外に出てみると、天の川が見えた。今年初めてくっきり見える天の川。
写真を撮る前に、ヨハンヨハンソンの曲をかけた。このおよそ15分の曲が終わるまでに。
現在の庭。
5月26日の庭。
4月15日の栗の木。
現在の栗の木。
その曲の壮厳な雰囲気と美しいメロディが、波のように寄せては離れていく。
とても好きな曲だ。彼が生きていればと思う。本当に惜しい作曲家だった。映画音楽を中心に活躍していたが、新しい音楽を作ることに野心的な人だったと思う。
彼の担当したメッセージという映画音楽を聴けばよくわかる。
曲が終わりに近づいた。この空と音楽の余韻に浸りつつ、最後の一枚を撮った。
想像の源である星々を見ながら、この曲をかけた。なにかが始まる予感をさせる曲だ。
全てが高まりあい、渦巻いていく過程が、星々と混ざりあいながらどこまでも拡がっていく。
明日はどんな風が駆け抜けるのか。
49.朝の歩み
カミさんが長男の保育園に連れて行ってる時に、次男坊と一緒に散歩した。セミの声が、止まないノイズのように響き、さまざまな鳥の鳴き声がそのノイズの中を軽やかに歌う。
風を感じて、一歳の子供が歩いていく様を眺めた。
犬を追いかけ、犬は迷惑そうに逃げて、やがてなんとかしてと俺の方に犬は寄ってきた。
ビーフジャーキーを犬に見せて、ポンと放り投げて犬は喜んでそちら側に行った。
子供は草地を歩くだけ歩いた。なにかをつぶやきながらドンドン歩いていく。セミと鳥の鳴き声と、そして風に包まれながら、つまずいて転んで、起き上がり、また歩いて行き、200メートル以上歩いたあとに、やがて泣き始めて、おれの腕の中に入った。
そのあとも今度は俺が抱きかかえながら、草地を歩いた。
かかえられてる子供は言葉にならない何かを発しながら、歩けと言っているかのように見えた。
いつものようにoneohtrixpointneverの曲をかけた。子供は一瞬泣いたが、そのあとすぐに深い眠りに入った。
今はまだ眠りの深い方向に向かって歩いているのだろう。
窓からセミと鳥の鳴き声が聞こえる。そして時折、心地よい風が流れ込んできている。
眠りの中で子供はなにを見ているのだろうか。
48.向こう側へ
なかなか昨日は大変な1日だった。今日の天気がいきなり雨マークになったので、急遽牧草をする事になった。牧草とは牛に食べさせる草で、草を丸く収穫する機械で作業をする。
整備士にしっかり整備してもらったけど、肝心なトラクターから引っ張るコンセントにあたる部分が長年使って劣化していたため、なかなか作業が出来なかった。
こちらは過去の写真。このような感じで収穫する。
夜の21時には終わるであろうと思っていた作業は、21時からロールを運搬する作業に。もはや日時をまたぐのは決定的だった。
そうなると諦めて開き直り、数枚、写真を撮る事にした。
向こうの方で、月が俺を見ていた。静かに昇り、こちらをただ黙って見ているかのように見える。
作業が思うように進まず、なんとかやりくりしている俺を、無言で照らして。
ちょうど0時を過ぎた頃、空から雨が涙のようにポタポタっと落ちてきた。
力尽きて、自宅に戻る。なんとかやるべき事はやった。
ふと空を見上げると、月は雲の中に隠れて、光だけがにじんでいた。なんとなくその姿は、雲の中で苦しんでいるように見えた。そしてそれは今日一日の自分の姿とも重なる部分はあった。
だが、あの月は俺の分身ではない。俺ではなく、今日もまたなぜここにいるか、わからないで浮いてる砂の惑星だ。
朝方には雨は止み、牧草地に置きっぱなしにしておいたトラックを取りに行った。少し濡れた風が心地よく、four tetのremixを聴きながら向こう側に向かって歩いた。
46.澄んだ空の色
二回目だぜ。
1992年にロサンゼルスの暴動があった。スパイクリーがMalcolm Xと呼ばれる映画を作ったときだった。パブリックエネミーが最高だった年。
昨日、動画を見た。
息ができないと言っててゆっくりと死んだ男性は、肌が黒かった。首を膝でしめつけられながら、上を見て空を見ていたが、空の青さを感じなかっただろう。
白いダースベイダーが軍隊を投入するってよ。本当にお前は真っ黒だな。アンタのブラザー、習近平は元気かい?お前の子分の安倍晋三は今も相変わらずだぜ。
きっとお前らは、空なんて見上げた事などないんだろう。
警察はひざまずいてデモに参加していたぜ。本当に驚いた。1回目の時にはあんな事なかった。
いつまでもお前らのためにひざまずいていると思っていたんだろ?だが少しでも空の色を見た事がある人はお前らにひざまづいたりしない。
その澄んだ空の色は、差別を受けて亡くなった人々の涙の色だ。
45.ゆるやかな午後
初夏の暑さと柔らかい風が吹いていた。子供たちと遊びながら、牛たちにタンクに水を入れて持って行く。
ちなみにスーパーマリオに飽きてはいないが、スパイダーマンのスパイダーバースという映画を見せたら今度はスパイダーマンになりたいと言ってきた。メルカリで1000円で買った衣装を着て、世界平和のために庭を走りまくっている。頭が下がる思いだ。
スパイダーバースはとても良い映画だった。黒人の少年がスパイダーマンとなり、マルチバースという世界で、時空を越えてそれぞれの世界からスパイダーマンが集まるという話だ。
人種問題にせよ物理の法則にせよのちに教えるには良い映画だと思ったw。
次男坊は初めて山の上に来た。巨体を動かして草食べながら歩く得体の知れない物を見て衝撃を受けていたようだ。最初は牛に近づく事も出来なかったが、そのうち慣れて大興奮で自ら近づこうとしていた。
やる事は山ほどあるが、ゆるやかに時間が流れていることを忘れていた気がする。
子供の笑い声を乗せて、ゆっくりと風は通り抜けていった。
44.山の恵み
ちょっと前の写真。
息子はマリオにハマっている、、。そしてメルカリでマリオの衣装が1000円以下で売られてたらしく、もう毎日着ているw。
ちなみに4歳だけどゲームはやらせていません。
今日は牛の放牧を一緒に行った。
ちなみに冬はこんな感じ。
不思議なんですがね、妻がたまたま道路を歩いていたら、ドヤドヤと集まってきて騒ぐんです。その3日後に子供ができたということがわかり、その子供がマリオなんですねw。本当にあの時は不思議だったな。
こちらはタラの木の芽です。通称、タラの芽。
断言してもいい。天ぷらで最高な食材はタラの芽です。食べるとクリーミーな味わいがして、ほのかに木の匂いもしてとにかく美味しい。
こちらがタラの芽です。山一つ所有してますから、沢山あります。ただ沢山採らないようにしてますが。
こちらはウド。葉っぱは天ぷらでカリカリにして食べて茎は酢味噌であえて食べます。春の山菜料理の代名詞ですね。
冬の寒さを越えた山の植物の力強さは、本当に心身にエネルギーが充填されるような気分になります。
昔は毎日この天ぷらばかり食べさせられたから嫌だったけど、今はどれだけありがたいか。
さて、他にも山菜をとりに行ったのですが、先に来訪者がいました。
熊です。これは子供を連れて行った時ではないです。子供を連れて行く時は熊が出ないコースを歩きます。
4月にアイヌネギを取りに行った時なのですが、その時に。実は東野幸治さんの幻ラジオというYouTubeで聴きながら行ったんですが、たまたまNHKで熊を叱る漁師の番組の感想を喋っていたんですね。それを聞き終わって、仕事終わりに行ったら、あらま。
小さい子熊を連れたメスグマでした。小高い丘から見つけて、こりゃ山菜採りはダメだなと諦めました。あちらも俺に気づきましたが、俺の事は知っているのでそんなに怖がる事もなくそそくさと沢の中に入っていきました。
お互い知っているので、なんつーか、3分後その場所を通って撮影したのがこれですw。
次は熊について書いてみようかな。