雨が降っていたが、写真を撮りに北海道は八雲町のおぼこ荘という温泉宿付近に行ってきた。
まさに秘境という言葉があっていてややボロいが観光として有名な場所でもなく、川のせせらぎと森の深さがバランス良くてかつ静けさそのものが美しい場所だ。
ズームレンズはやめた。やはり苦手で撮る気力がなくなる。カメラは富士フイルムxpro2 、35mmf2.0と16mmf1.4を持っておぼこ荘に向かった。35mmの単焦点のみで今日の撮影はおさめようと思った。
雨の音と川のせせらぎの音が美しく、しばらくするとその景色と一体化した気分になる。心地良かった。
xpro2 のシャッター音が心地よい。マニュアルモードで撮っていたが、親指を切断しかけてからはまったく動かなくて焦点を合わせるのが難しくズームレンズでオートで撮っていた。だがやはり性に合わない。もうやめた。
ファインダーを覗く。ボヤけた木の葉を動かない親指を苦労しながら合わせていく。
木の葉の輪郭が徐々に見えてくる。おぼろげな風景が、数秒後に美しい風景に変わった。
しかしおぼろげな風景も美しく見えた。
U-NEXTでステーションイレブンというドラマを見た。素晴らしいドラマだった。ドラマの本質はおそらくとらえていない。
ハムレットの演劇と人間の生死の境線、空港という人が交わる場所、森を歩く事と人生を歩む事、全てが交錯しながら出会いまた別れて旅立ってゆく。
飾らぬ場所を求めて。あるいは帰るために旅立つ。
ハムレットの演劇中に流れていた音楽が頭の奥の奥の方で鳴り始めた。川の水に足をとられ転びそうになる。
水の勢いは強く、一気に海へ向かってと進んでゆく。気づいた時には光をさえぎる森の奥へと来ていた。
最後のショットを撮り終えた。木々の間ではそんなに雨粒には当たらなかった。水を飲んで帰る事にした。
道を撮り、少し歩くとチェーンのついた廃木を見つけた。
死にからみつきながら生きる事を次に託してるかのような印象を持った。
川のせせらぎの音が心地良かった。水は海へとゆく。
車に乗って帰路に向かった。